ひととき融資とは？借金だけじゃない人生を狂わせるリスク

ひととき融資とは？何が危ないの？

ひととき融資の実態は、「ひととき」という穏やかな語感とはかけ離れています。

セックスを含む性行為と引き換えにお金の貸し借りを行うのが、ひととき融資です。

コロナ禍や長引く不況などで、被害に遭う女性が数多くいます。

ひととき融資とは

ひととき融資は、性行為を条件にして、お金の貸し借りを行うことを意味します。

主な借り手は若い女性で、当然ながら、違法です。

ひととき融資は、個人間融資と同じく、金融庁が注意喚起をしています。

ひととき融資の由来は、「性行為相手とひと時過ごす」や、「人（ひと）、と木（き）、で『体』を意味する」などの説があります。

どこからも融資を受けられない女性がターゲットに

ひととき融資の借り手はどこからも融資を受けられず、お金の工面に困っている若い女性が多いです。

下記のような立場の女性がターゲットになりやすいです。

• 消費者金融の審査に落ちる事情がある
• コロナ禍などによる、大幅な収入減
• 収入の少ない学生やフリーター、主婦
• パパ活希望者

リスクが大きいと分かっていても、ひととき融資以外に手段が残っていない（と思いこんでいる）女性の被害が、後を絶ちません。

ひととき融資でお金を借りるリスク

ひととき融資は、「スケベで気のいい一般人からお金を借りる」などという穏やかなものではありません。

ひととき融資の後ろにいるのは個人だけではなく、反社会勢力やヤミ金業者なども多いです。

ひととき融資の利用で、さらに追い詰められるようなことになりかねません。

性行為が条件

ひととき融資はお金を借りたり返済したりする際に、性行為が伴います。

下記のようなこと言われることが多く、困窮している女性に選択権はありません。

• 性行為を断れば、返済額や利子を追加
• 性行為をすれば、返済や利息をオマケ
• 性行為をすれば、追加で融資

合意のない乱暴な行為や、避妊無しなどの場合もあります。

もちろん子どもができても、性感染症に罹患しても、責任はとりません。

写真や動画を撮影され脅迫される

ひととき融資は、完済すればそれでお終いとはいきません。

裸の動画や写真をネタにされ、金銭や性行為を要求するなどの脅迫もあります。

中には融資前に写真などを要求し、1円も女性にお金を貸さずに脅迫行為をすることもありました。

ひととき融資を1度でも利用すれば弱みを握られ、抜け出せなくさせます。

自分の裸の写真を相手に握られている状態では、相談もままなりません。

個人情報を悪用される

ひととき融資をする際には、事前に身分証などの個人情報を求められます。

渡した個人情報は、ヤミ金業者や暴力団、ヤクザなどに流れ放題です。

返済が滞れば、さらに悪質な融資や風俗、ヤミバイトなどを斡旋されるケースもあります。

自分の名前や住所だけでなく、家族や勤め先、学校なども把握されているので、逃げにくいです。

反社会的勢力と関わりを持つことになり、生活の立て直しが遠のきます。

法外な金利を要求される

ひととき融資に、「セックスまでするんだから、金利や返済は緩めだよね」などという甘い考えは通用しません。

貸し手にとって、ひととき融資を求める女性は「セックスを厭わない程、追い詰められている人」です。

合法の消費者金融の利用だけでなく、風俗店勤務もできない事情があると、足元を見ています。

つまり借り手は、どんな条件でも呑むしかありません。

その弱みに付け込み、出資法の上限である年利20.0％を超える法外な金利が当たり前です。

滞納すれば、過激な性行為や反社会勢力がらみの売春、ヤミバイトなどを強要します。

ヤミ金や詐欺の可能性

ひととき融資は、「性行為さえすればお金を借りられる」ものではありません。

個人情報や自撮り、性行為を代償にしても、お金を借りられなかったり、それを弱みにして脅迫されたりします。

また、「20万円の融資の保証金として、先に5万円振り込む必要がある」などと、お金を巻き上げ、そのまま姿をくらます詐欺も多いです。

詐欺の被害に遭っても、「肉体関係を持ってお金を借りようとした」という後ろめたさから、泣き寝入りする女性が少なくありません。

ひととき融資は合法？それとも違法？

ひととき融資は、罰金や懲役が関わるような違法行為に該当することが多いです。実際に、逮捕事例も多くあります。

借用書を書いていても、合意があったとしても、肉体関係や高利を受け入れなければならない理由にはなりません。

利息制限法、出資法違反

金銭を貸し付けする際は、金利の上限を利息制限法と出資法で定めています。

下記は、利息制限法の定める金利の上限です。

利息制限法は、消費者金融などの業者だけでなく、個人間の貸し借りでも守らなければなりません。

また、出資法とは、「それ以上の利率を設定すると刑事罰が適用される」場合を定める法律です。

下記は、刑事罰の対象です。

• 貸金業者は利息制限法を超えた場合
• 個人は年利109.5％を超えた場合

個人からの融資の場合、法律上は下記のようになります。

• 利息制限法を越えた金利は無効
• 年利109.5%を超えた場合は刑事罰

ひととき融資は、本来ならば金利が無効になったり、刑事罰対象になったりするような条件の貸し付けを強要してきます。

貸金業法違反

「単発で知人にお金を貸した」などではなく、ビジネスとしてお金を貸す場合、貸金業法に従わなければなりません。

金融庁に貸金業としての届出をする義務があります。届出をせずに営業しているのが、ヤミ金です。

ひととき融資は、一般人が気まぐれとスケベ心でお金を貸しているのではありません。ビジネスとして融資を行っているので、貸金業法違反です。

強制わいせつ罪、強制性交等罪

性行為を覚悟していたけれど、土壇場になって怖くなる女性も多いです。

しかし、拒んでも貸し手が納得せず、無理やり触ったり行為に及んだりした場合、強制わいせつ罪や強制性交等罪に該当するケースがあります。

たとえ返済が出来なかったとしても、性行為を強要されていい理由にはなりません。

脅迫罪、暴行罪

ひととき融資を受けようとした女性が直前で気が変わり、性行為を拒んだときに、暴力を振るったり怒鳴りつけたりすると、暴行罪が適応されます。

また、裸の写真や動画をネタに「従わないとネットにバラまくぞ」などと脅すことは、脅迫罪に該当する行為です。

直接暴力を振るわれなくても、暴行を匂わせたり、知人などに危害を加えるようなことを示唆した場合も、脅迫罪や暴行罪に該当します。

名誉毀損罪、ストーカー規制法違反

ひととき融資を受けたことを周囲に吹聴するのは、名誉棄損罪です。

たとえ事実であっても、相手の名誉を不当に貶めることは違法になります。

また、ひととき融資をきっかけに、女性が付きまとわれる被害も多いです。

性行為をしたり、お金を返せていなかったりする後ろめたさで、女性が拒んだり相談したりできないのを逆手にとっています。

しかし、付きまとい行為はストーカー規制法違反になります。

児童買春禁止法違反

ひととき融資の利用者が未成年ならば、児童買春禁止法に違反します。

18歳未満の未成年と性交やそれに類似した行為をするのは犯罪です。

合意の上であっても、児童買春禁止法は成立します。

借り手の未成年が逮捕されることはありませんが、補導対象にはなります。

ひととき融資の逮捕事例

実際にあった、ひととき融資の事件を紹介します。

困窮した女性がひととき融資に縋りつき、さらに追い詰められて警察に相談して逮捕に至るケースが多いです。

容疑者が逮捕されたとしても、行ってしまった性的行為や画像・動画を無かったことにはできません。

大阪府千早赤阪村職員の逮捕事例

この事件の金利は、10万借りて15万円返済するほどの暴利でした。これは、法定金利の約4倍に相当します。法律で定めた金利よりもさらに高い金利の上、性的行為、さらには写真という弱みまで握るような事件でした。

参考：神戸新聞

西宮市の自営業男性の逮捕事例

逮捕された件は16歳少女に対する児童買春・ポルノ禁止法違反ですが、ひととき融資を繰り返しているとのことなので、まだまだ余罪があるようです。

児童買春・ポルノ禁止法に違反しているという事実から見て、性的行為だけでなく、撮影も行っていたと思われます。

16歳の少女は、1万円の報酬と1万円の借金のために、性的行為と撮影を強いられたことになります。

参考：産経新聞社

埼玉県川口市の経営コンサルタント男性の逮捕事例

容疑者は「女性との体の関係を求めていた。お金を貸すことの優越感にも浸りたかった」と供述しています。2010年ごろからひととき融資を行い、法外な金利で、約600万円の利益を得ていたようです。

参考：埼玉新聞

横浜市都筑区池辺町の無職男性の逮捕事例

逮捕時に明らかだった被害者は3人ですが、実際には数十人に貸し付けを行っていた可能性もあるようです。

逮捕のきっかけは被害者が「ネット掲示板のヤミ金融からお金を借りたが、返せなくなった」と、署に相談したからです。厳しい取り立てだったことが、予想されます。